花屋の残業代は出る?業界の実態や確認ポイントなどを徹底解説

コラム
花屋で働きたいと考えている方や現在働いている方にとって、「残業代はきちんと出る?」という不安を抱えている方は少なくありません。
また、母の日や卒業シーズンなどの繁忙期にはどうしても長時間労働になりやすく、サービス残業が常態化しているのでは?と感じる方もいるでしょう。
そこで今回は、花屋で残業が増えやすい背景や残業代が支払われないと感じたときに確認すべきポイント、働く前に注意しておきたいことなどを分かりやすく紹介します。安心して花屋で働くために、自分の権利を守る知識を身につけましょう。
花屋の残業代は出る?基本的な考え方
花屋で働く人にとって、「残業代はきちんと支払われるのか」という点は気になるポイントです。繁忙期やイベント時期にはどうしても長時間労働になりやすいため、法律上の取り扱いを理解しておくことが大切です。
ここでは、残業代の基本的な考え方と花屋で起こりやすい注意点について具体的に解説します。
労働基準法に基づき残業代は支払われる
残業代は、花屋を含めすべての業種で労働基準法によって支払いが義務づけられています。基本的には1日8時間、週40時間を超えて勤務した場合に「時間外労働」となり、所定の割増率で残業代が発生します。割増率は通常25%ですが、深夜や休日に働いた場合にはさらに高い率で支払われます。
花屋では繁忙期に早朝から夜遅くまで働くケースがあり、その場合でも時間外労働が発生すれば残業代を受け取る権利があります。そのため、「花屋だから残業代が出ない」ということはなく、法律上は必ず支払われる仕組みになっています。
サービス残業が問題になるケースもある
一方で、花屋業界では「サービス残業」と呼ばれる未払い残業が問題になるケースも見られます。たとえば、閉店後に行う花の鮮度管理や片付け、翌日のアレンジメント制作などを「業務の延長」として扱われ、労働時間に含めてもらえない場合があります。
特に、スタッフ数が少ない店舗では店長や正社員が黙認してサービス残業を行うこともあり、不満につながるケースもあります。
しかし、どのような作業であっても業務である以上は労働時間に含まれるため、本来は残業代が発生するものです。花屋で働く際は、サービス残業がないかをしっかりチェックすることをおすすめします。
花屋で残業が多くなりやすい理由
花屋で残業が多くなりやすい理由として、以下の5つが挙げられます。
- 繁忙期やイベントシーズンでの需要増加
- 仕入れが早朝に行われて業務時間が長くなる
- 鮮度管理や水替えなどの作業に時間がかかる
- 急な注文や納期対応が発生する
- 一人あたりの業務量が多くなりやすい
花屋の仕事は、花を扱うという特性上どうしても労働時間が延びやすい傾向にあります。
ここでは、花屋で残業が多くなりやすい要因について具体的に見ていきましょう。
繁忙期やイベントシーズンでの需要増加
花屋で残業が増える最大の要因の一つが、母の日や卒業・入学シーズン、クリスマスなどのイベント需要です。
こうした時期は普段の数倍以上の注文が一気に集中し、店頭販売に加えて電話やオンライン注文も殺到します。そのため、閉店後もアレンジメントや花束制作に追われ、深夜まで作業が続くことも珍しくありません。
特に母の日は年間で最も大きな繁忙期とされており、スタッフ総出で対応しても間に合わないほどの注文が入ることがあります。
イベントシーズンでは納期が厳格に決まっているため、「残業をすればなんとかなる」という状況が多く、必然的に労働時間が伸びる傾向にあります。繁忙期は花屋にとって売上を伸ばす絶好の機会ですが、その分長時間労働や残業のリスクが高まる点には覚悟しておく必要があります。
仕入れが早朝に行われて業務時間が長くなる
花屋は商品の特性上、早朝に花市場へ仕入れに行くことが一般的です。市場は午前5時や6時に開かれるため、スタッフや店長は夜明け前から行動を開始しなければなりません。
仕入れた花を店舗に持ち帰ったあとは水揚げや仕分け、ラッピングなどの準備作業を行い、そのまま開店を迎えます。さらに、閉店後は翌日の準備や在庫の整理が待っているため、結果として勤務時間が長くなりやすいです。
特に、人員の少ない店舗では仕入れから販売、閉店後の後片付けまでを同じスタッフが担当することが多く、肉体的・時間的な負担が大きくなります。こうした業務の流れが、花屋の残業時間を押し上げる大きな要因となっています。
鮮度管理や水替えなどの作業に時間がかかる
花は生鮮品であり、鮮度を保つためには日々の管理が欠かせません。閉店後には、花瓶の水替えや茎の切り戻し、花の状態を確認して弱ったものを取り除くなど、細かい作業が必ず発生します。
これらは翌日の売上や商品の魅力に直結する重要な業務ですが、営業中には手が回らないため、営業時間終了後に行うことが多いです。特に、取り扱う品種が多い店舗や仕入れ量が増える繁忙期には、この鮮度管理だけで数時間かかることも珍しくありません。
また、花は気温や湿度に敏感なため、季節によっては温度調整や保管方法にも手間がかかります。こうした積み重ねが退勤時間が後ろ倒しになり、残業の増加につながっているといえます。
急な注文や納期対応が発生する
花屋の特徴として、急な注文や特別な納期対応が頻繁に発生する点があります。たとえば、葬儀や法要などは突然の依頼が多く、依頼から数時間以内に大量の花を用意しなければならないケースも少なくありません。
さらに、ウェディングや企業イベントなどの大口注文は、数日前から徹夜に近い作業をしてでも間に合わせる必要が出てきます。通常業務と並行してこうした急ぎの依頼に対応すると、どうしても営業時間を超えて作業が続き、残業が増えてしまいます。
また、花は日持ちしないので納期をずらすことが難しく、指定された時間に必ず届ける必要があるため、柔軟に調整する余地が少ないのも特徴です。そのため、花屋の仕事には突発的な残業が避けられない状況が発生しやすいといえます。
一人あたりの業務量が多くなりやすい
花屋は大手チェーンを除けば小規模経営が多く、少人数で店舗を運営しているケースが大半です。そのため、一人のスタッフが接客や販売だけでなく、仕入れや制作、配達、鮮度管理といった幅広い業務を担当しなければなりません。
繁忙期にはアルバイトやパートを増員する場合もありますが、それでも経験不足の人材では即戦力になりにくく、結局は既存スタッフが残業してカバーすることが多いです。特に、店長や正社員は「最後まで責任を持つ」という立場から、自発的に残って作業を続ける傾向もあります。
このように少人数運営と業務の多様さが重なり、一人あたりの業務負担が大きくなる結果、残業時間が増えてしまいます。
花屋で残業代が出ないと感じたときの確認ポイント

花屋で残業代が出ていないと感じたときは、以下の3つをチェックしてみてください。
- 雇用契約書・労働条件通知書を確認する
- みなし残業・固定残業代の有無を確認する
- タイムカードやシフト表で勤務時間を確認する
「残業代が支払われていないのでは?」と感じたときは、まず客観的に状況を確認することが大切です。感覚的に「多く働いたのに給料が増えていない」と思っても、契約内容や制度によっては計算方法が異なる場合があります。
ここでは、確認すべき具体的なポイントについて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
雇用契約書・労働条件通知書を確認する
残業代が支払われていないと感じたとき、まず最初に確認すべきは雇用契約書や労働条件通知書です。これらの書面には勤務時間や賃金、残業の取り扱いが記載されており、給与に残業代が含まれているのか、それとも別途支給されるのかを把握できます。
たとえば、「時間外手当は給与に含む」と記載されている場合でも、法律上は所定の時間を超える残業に対して追加支払いが必要です。記載内容と実際の勤務時間を照らし合わせることで、未払いが発生しているかを判断できます。
また、契約書に明確な記載がない場合は雇用主に確認を求めることも重要です。書面に基づいた確認は感覚的な不満を客観的に整理し、改善を求める際の根拠になります。
みなし残業・固定残業代の有無を確認する
花屋の求人票や契約書に「固定残業代込み」と記載されていることがあります。これは一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支払う仕組みで、「みなし残業」とも呼ばれます。
ただし、規定時間を超える残業が発生した場合には追加で支払う義務があり、すべてを固定残業で済ませることはできません。たとえば、「月20時間分の残業代を含む」となっている場合、実際に30時間働いたときは超過分の10時間について支払いが必要です。
この仕組みを理解せずに働くと「残業代が出ていない」と感じやすいため、契約内容をしっかり確認することが欠かせません。不明瞭な場合は労働基準法に則り、正しく支払われているかどうかを必ず確認しましょう。
タイムカードやシフト表で勤務時間を確認する
残業代の請求や不当な扱いを訴えるには、自分が実際に働いた時間を示す証拠が必要です。そのため、タイムカードやシフト表、レジの稼働記録など、勤務時間を裏付けられる記録を必ず残しておきましょう。
中には「打刻後に作業を続けるように指示される」といったケースもありますが、これは本来サービス残業にあたり、違法となる可能性があります。そうした場合に備え、自分自身でも出退勤時間をメモしておくなど、補助的な記録を取ることが有効です。
客観的な証拠があることで給与明細との不一致を指摘できるようになり、相談機関に説明する際に大きな助けとなります。
花屋で働く際に残業代に関して注意すべきこと
花屋で働く際、残業代に関して注意すべき点として以下のような内容が挙げられます。
- 面接や入社前に残業代の取り扱いを確認する
- 繁忙期の残業ルールを把握しておく
- 不当な未払いが続く場合の相談先を知っておく
花屋で働くと、繁忙期や業務の特性から残業が発生することは避けられません。そのため、残業代について事前に理解し、働き始めてからトラブルにならないように注意することが大切です。
ここでは、働く前や働いている最中に押さえておきたい注意点を3つ紹介します。
面接や入社前に残業代の取り扱いを確認する
花屋で働くことを希望する際は、求人票や面接の段階で残業代の取り扱いを必ず確認しておくことが重要です。求人情報に「残業代別途支給」と書かれていても、実際には固定残業制を採用している場合があり、あとから思っていた条件と違うと感じるトラブルにつながることがあります。
また、小規模な花屋では口頭での説明にとどまるケースも多く、入社後に「残業代は含まれている」といわれてしまうこともあるので注意が必要です。
花屋で働き始めてから不満や誤解が生じないように、雇用契約書や労働条件通知書に残業代の支給方法が明記されているかをしっかり確認しましょう。不明点は面接の時点で質問し、納得した上で入社することが自分の権利を守る第一歩です。
繁忙期の残業ルールを把握しておく
花屋は母の日や卒業・入学シーズン、クリスマスなどのイベント時期に忙しくなり、通常期と比べて残業時間が大幅に増えることも珍しくありません。そのため、入社前や働き始める際に「繁忙期にはどれくらい残業が発生するのか」「その分の残業代や代休はどう処理されるのか」を事前に確認しておくことが大切です。
繁忙期は店舗の売上を大きく左右するため、長時間労働を避けられない場面もありますが、正しく残業代が支払われるのであれば安心して取り組めます。逆に、サービス残業が常態化している職場では身体的にも精神的にも負担が大きくなります。
花屋で働く際は、その職場が持つルールの明確さは企業選びの重要な指標になるでしょう。
不当な未払いが続く場合の相談先を知っておく
もし、残業代が支払われない状況が続いた場合は自分一人で抱え込まず、労働基準監督署や労働相談窓口に相談することが有効です。特に小規模な花屋ではサービス残業が黙認されることもありますが、法律上は明確に違法とされています。
相談にはタイムカードやシフト表などの客観的な証拠が役立ちます。未払いが長期間続けば生活にも影響が出てしまうため、早めに行動を起こすことが大切です。
また、職場内で改善が見込めない場合は、転職や労働環境の見直しを検討することも必要です。相談先を知っておくことで泣き寝入りを防ぎ、自分の働き方を守ることができます。
花屋の残業代に関するよくある質問

花屋で働くにあたり、残業代に関して疑問を持つ方は少なくありません。
最後に、よくある疑問について解説するので、花屋で働く際に役立ててください。
アルバイトでも残業代は出る?
アルバイトやパートで働いている場合でも、労働基準法に基づき残業代は必ず支払われます。基本的には1日8時間、週40時間を超える労働が時間外労働に該当し、25%の割増率で残業代が発生します。
花屋は繁忙期にアルバイトのシフトを増やすことが多いため、気づかないうちに法定労働時間を超えて働いているケースも少なくありません。その場合、時給に基づいて計算された残業代を受け取る権利があります。
「アルバイトだから残業代は出ない」といった扱いは法律上認められず、未払いが続けば違法となるので、残業代について違和感を感じたときは一度確認することをおすすめします。
花屋の残業時間はどれくらい?
花屋の残業時間は、店舗の規模や季節によって大きく変動しますが、一般的には20時間前後といわれています。
しかし、母の日や卒業・入学シーズン、クリスマスといった繁忙期では2~3時間の残業が続くケースも多く、月の残業時間は40時間になることもあります。特に母の日は一年で最も大きな繁忙期とされ、深夜までアレンジメント制作や配達準備を行う店舗も珍しくありません。
また、仕入れは早朝に行われるため、開店準備を含めると労働時間が長くなりやすい点も特徴です。さらに、小規模な花屋では人員が限られているため、一人あたりの負担が大きく、繁忙期には連日残業が発生することもあります。
花屋の規模によっては残業が長時間化する傾向にあるため、働き方を選ぶ際は自分のライフスタイルと照らし合わせて検討することが大切です。
まとめ
花屋の仕事は華やかに見える一方で、仕入れや鮮度管理、繁忙期の大量注文対応などによって残業が発生しやすい業種です。しかし、労働基準法では雇用形態を問わず残業代の支払いが義務づけられており、アルバイトやパートであっても例外ではありません。
固定残業制やサービス残業など、残業代の取り扱いに不透明さを感じたときは、雇用契約書やタイムカードを確認し、正しく支払われているかを客観的に判断することが大切です。その他にも、面接時に残業代の仕組みを確認したり繁忙期のルールを把握したりなど、働く前から意識しておくことでトラブルを防げます。
花屋で安心して働き続けるためには情熱ややりがいだけでなく、自分の労働環境を守る知識を持つことが肝心ということを覚えておきましょう。
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